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誌上個展

フェラーリ 250 テスタロッサ (ハセガワ 1/24)
Ferrari 250 Testa Rossa (Hasegawa 1/24)

by 田口博通 Hiromichi taguchi

  Vintage garageは創世記から1970年代までのビンテージレースカーとビンテージクラシックカーの連載コーナーです。クラシックな姿の中に優雅さと繊細さを内包した彼女達にしびれる方々も多いはず。 
 ビンテージ・ガレージは ビンテージカープラモデルの製作だけでなく、その独特の魅力を醸し出すビンテージカーが背景に持つエピソードにもスポットをあてています。 
どうぞあわせてお楽しみ下さい。
   (ビンテージ・ガレージ バックナンバーは ページ末に→

  8月号から始まったビンテージ・ガレージ 第3シーズンですが、国内メーカーから発売されているビンテージカーを取り上げています。
 今月登場するのは ハセガワから発売されている 1950年代後半のレーシングカー フェラーリ 250 テスタロッサです。
  ハセガワのテスタロッサはエンジンルーム、鋼管シャーシが再現されている魅力的なキットです。



フェラーリ 250 テスタロッサ (ハセガワ 1/24)
 

実車について

 フェラーリが開発した250テスタロッサは58年から3リッターレギュレーションとなったワールド・スポーツカー・チャンピオンシップ用に開発したレース用車両で、19台の市販型と、ワークスが使用した15台、 計34台である。
 1953年から始まったワールド・スポーツカー・チャンピオンシップは当初、排気量制限が定められていなかったが57年のシーズン終了後、スピードが上がりすぎるのを抑制する目的で、58年シーズンからレーシングスポーツの排気量を3ℓにレギュレーションが変更された。
 これに合わせ、フェラーリ社が新型3ℓマシンとしてコロンボ系のV12エンジン(SOHC)を最高出力が従来型の240bhpから300bhp/7200rpm へ強化して搭載した。このエンジンの開発時、カムカバーを旧型エンジンとの識別のために赤く塗っていたため、250TestaRossa(赤い頭)とネーミングされた経緯がある。
250は当時のフェラーリの伝統に習い、一気筒当りの排気量を表している。12気筒なので、総排気量は2953ccであった。
  シャーシは航空機用の太い鋼管によるラダーフレームで剛性の強いものであった。
、サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーンとコイル、リアは横置きリーフスプリングのド・ディオンアクスル(ワークス)か、トレーリングアームとリーフスプリングによるリジットアクスル(市販型)である。
 ボディデザインはカロッツエリア・スカリエッティにより、オールアルミニウムによる叩き出しで製作されていた。いわゆるポンツーンフェンダーを持ち、グリル脇から切れ込むようなデザインを持っているのが最大のデザイン上の特徴である。

1958年、ルマン24時間で優勝している。

エンジン (wikiぺディアより引用)

キットについて

 ハセガワのキットは、いくつかのバージョンが発売されているようだが、今回使ったのは、ロードバージョンに相当するものである。
 エンジン、鋼管シャーシー、サスペンションが見える範囲で上手に再現されている。
ホワイトと黒のプラスチックで成形されている部品はハセガワらしく堅実で、好感が持てる。

製作

(1)エンジン
 右はエンジン部品を組んだもので、カムカバーをレッドで、エンジン本体をシルバーで塗装すれば、魅力的な仕上がりになる。
資料があれば、配管を追加するのも楽しいだろう。
 



(2)サスペンション
 下のように、フロントとリアのサスペンションをシャーシーに組んでいく。
 無塗装で組んで接着強度を上げ、しっかりと接着材が固まったら、塗装をすればよい。
説明書では出来上がりが図示されていないので、下の写真をご参考に。



(3)フレームの組み立て
説明書とは組み方が違うが、鋼管フレームはコクピット床とラジエーター組で下のように組立てると良い。シャーシーと仮合わせをしながら、位置合わせをする。  シャーシーにはエンジンを仮組しておいて、コクピット床とエンジンギアボックスが干渉しないか確認しよう。

上側が鋼管フレームとコクピット床を組み立てたもの。
下側がシャーシーにエンジンを仮組したもの。



上下を組み合わせれば、下のようになる。
この後、仮組を一度ばらして、シャーシー、コクピットを半艶消し黒で塗装する
塗装後、タイヤと座席を組むこめば、下部は簡単に出来上がりとなる。
 


塗装後、タイヤと座席を組む。


(4)ボディ塗装
ボディは下の写真のように4個のパーツからなっている。サイドパネルとエアスクープも接着して、
ボディの形にする。
白プラスチックは透けやすいので ボディ裏は艶消し黒で塗り、ボディ表面はグレーサフェーサー、白サフェーサーと下塗りしておこう。
 上塗りにはMrカラーNo.158 スーパーイタリアンレッドを吹き付けたが それだけで充分な艶になったと思う。



サフェーサーの上にレッドを上塗りする。

完成

 マフラーや子部品をつけて完成だ。ウインドシールドのシルバーモールにはミラーフィニィッシュを貼りこんでみた。ボンネットカバーのエアスクープは切り取って、裏からシンチュウネットを貼っている。テールライトやヘッドライトカバーの透明部品は手芸用の水性ボンドを使うと曇らせることなく綺麗に接着ができる。すっきりと仕上げるために、革製ストラップやナンバープレートなど いくつかの子部品は省略してある。  ハセガワの車プラモデルを作ったのは初めての経験だが、おとなしめの造形ではあるが、全体としてなかなかのフォルムではないかと感じる。
 私見だが 手元にブラーゴの1/18テスタロッサがあるのだが、それと比べるとポンツーンフェンダーのサイドへの張り出し感がおとなしいのである。また、ハセガワのラジエター開口はぐっと下に下がっているのだが、上の実車写真と比較しても開口がもっと正面に伸びやかに大きくてもいいような気がする。
もっとも筆者の頭には、テスタロッサの造形に模をとったマッハ号のイメージが刷り込まれているのかもしれない。 



ステアリングはウッドブラウン、計器パネルはデカール。

フェラーリ250 テスタロッサ その後

 2011年8月、「米カリフォルニア州で開かれたオークションに57年型テスタロッサが出品され、自動車の競売としては史上最高額の1640万ドル(約16億円)で落札された。」とのニュースが世界の目を引いた。この車がイタリアで2009年に落札された時は1200万ドルだったので、2年で420万ドル(4億円)値上がりしたいうことだ。
 一方、今年、フェラーリが生産数を拡大するというニュースが報道されると、富裕層から希少価値が低下し、中古車の値が下がると ブーイングが出たそうである。
 フェラーリは その高性能とイタリアンデザインによる車趣味の対象から 希少価値による単なる投資対象に変質してきているのである。
 美術の世界でも同様だろうが、デザインでも性能でもなく、単に希少価値の投資対象としか見えない人達には倉庫で寝かしておくだけで値上がりする車や絵画がお金に見えるということであろう。
 そんな投資傾向をフェラーリ社自身が良しとするのか、それとも生産数を拡大して投資加熱を押さえ、公道を走る車を提供するという本来の自動車メーカーとしての王道を歩もうとするのか、今後が気になるところである。





ビンテージ・ガレージ バックナンバー 
ビンテージ・ガレージ バックナンバー
3rd
シーズン
2015年10月号 第14回 シトロエン DS19 (エブロ 1/24)
CITROEN DS19 (EBBRO 1/24)
 
2015年9月号 第14回 フォルクスワーゲン カルマン・ギア 1963年型 (GCIクレオス 1/24)
 Volkswagen Karmann Ghia 1963
2015年8月号 第13回 メルセデス ベンツ 300SL (タミヤ 1/24)
Mercedes Benz 300SL (Tamiya 1/24)
2nd
シーズン
2014年12月号 第12回 オースチン ヒーレー 100-6 (レベル1/25)
AUSTIN HEALEY 100-SIX (Revell 1/25)
2014年11月号 第11回 リンカーン・フューチュラ(レベル1/25) 
LINCOLN Futura (Revell 1/25)
2014年10月号 第10回 メルセデス・ベンツ540K(モノグラム1/24)
MERCEDES-BENZ540K (Monogram 1/24)
2014年9月号 第9回 デユーセンバーグ・モデルSJ(モノグラム1/24) 
DUESENBERG SJ (Monogram 1/24) 
2014年8月号 第8回 ド・ディオン・ブートン (1904年型)(ユニオン 1/16)
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2014年7月号 第7回 アルファロメオ2300 トゥーリング(1932)(ブラーゴメタルキット 1/18)
ALFA ROMEO 2300 TOURING(Burago Metal Kit 1/18)
1st
シーズン
2014年1月号  第6回 ベンツ 300SLR (レベルモノグラム 1/24) 
2013年12月号 第5回 BENTLEY 4.5L BLOWER (エレール 1/24)
2013年11月号 第4回 ブガッティ 35B(モノグラム 1/24) 
2013年10月号 第3回 BRABHAM F-3 (エレール  1/24) 
2013年9月号  第2回 ROB WALKER Team Lotus 72C (エブロ 1/20)
2013年8月号  第1回 ホンダF1 RA272(タミヤ 1/20)



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Vol.88 2015 December.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
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