ポルシェ356 は、ドイツのポルシェが最初に発売した2シーター小型スポーツカーで1948年に設計されている。ポルシェの市販スポーツカーの始祖といっても良いだろう。
ポルシェ博士は1938年にフォルクスワーゲン(ビートル)を設計したことでよく知られている。ポルシェの創業は第一次大戦後の1931年であるが、他社の設計と開発を主な業務とした設計事務所であった。
第2次大戦後、ドイツの敗戦により、ポルシェ博士は2年余り戦犯として拘留されてしまった。ポルシェ社の復活をまかされた息子のフェルディナント・アントン・エルンスト・ポルシェ(通称フェリー)はスポーツカーの自社生産メーカーの道を選び、彼とカール・ラーベによって、疎開先のオーストリア グミュントで設計されたのが、このポルシェ356である。
ポルシェ356はVWビートルを基礎に設計されているため、後置きの空冷水平対向エンジン、トーションバーの独立懸架を踏襲し、その上に 小型の2座席ボディを置いている。ポルシェのスタイルにビートルの流れを感じるのはそのためだろう。 |
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1948年6月に試作車が完成し、7月にはテストを兼ね、インスブルックのレースに出場し優勝している。技術に自信を深めたポルシェは翌1949年から少数台の生産を始め、1963年まで改良発展しながら販売された。
ポルシェ356Aスピードスターがリリースされたのは、1956年のことで、オープンボディとして低く作り直し、ソフトトップ幌とし、ウインドシールドを小さし、更に軽量 高性能を狙った。
現代のポルシェと同じく 極めて高価だったが、アメリカを中心に大人気となり、現在でも プレミアムがついた貴重なビンテージスポーツカーとして垂涎の的になっている。
ポルシェ911系が1963年フランクフルトショーでデビューするまで、ポルシェを代表した市販スポーツカーがこの356Aだった。
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