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誌上個展

Team Lotus Type49B 1969 (エブロ 1/20)

by 田口博通 Hiromichi taguchi

  Vintage garageは創世記から1970年代までのビンテージレースカーとビンテージクラシックカーの連載コーナーです。クラシックな姿の中に優雅さと繊細さを内包した彼女達にしびれる方々も多いはず。 
 ビンテージ・ガレージは ビンテージカープラモデルの製作だけでなく、その独特の魅力を醸し出すビンテージカーが背景に持つエピソードにもスポットをあてています。 
どうぞあわせてお楽しみ下さい。

  2018年4月号から再開するビンテージ・ガレージ 第5シーズンは、国内外メーカーから発売されている1950年代から1960年代のビンテージカーを主に取り上げます。
 今月登場するのは エブロから2月に発売されたNEW KIT 1/20 ロータス49Bです。
   ロータス49Bはロータス49 (1967)を大幅に改良したマシンで、ノーズカウリング左右の小型のウイングと、リアに装備された ハイマウントの大ウイングが外形的な特徴です。
また、ナショナルカラーに変わり、スポンサーカラーの赤白金色の「ゴールドリーフ」塗装になったのも大きな変化点です。
グラハム・ヒルが1968年のスペインGP,モナコGP、メキシコGPで優勝を飾っています。



エブロ1/20 Lotus49B箱絵 

Team Lotus Type49B

実車について

 ロータス49といえば、新開発のフォードDFVエンジンを搭載し、コンベンショナルなアルミモノコックの構造を踏襲した構造で1967年5月に完成、第3戦オランダGPから実戦投入されジム・クラークがデビューウィンを飾っている。1967年には4勝を挙げ、戦闘力の高い名車として知られている。
 
 ロータス49Bはこの49を大きく改良し、1968年第3戦モナコGPから投入されたマシンである。
 1968年初めからエンジンパワーをより路面に伝えるようにとリヤタイヤの幅を広くしたため、リヤタイヤの荷重不足で、コーナーリングに問題が生じた。
 荷重不足対策として ホイールベースを75mm延長し、フロントタイヤを前方に移して、リアタイヤへの荷重を増やした。また、ギアボックスの上にオイルタンクとオイルクーラーを載せ荷重不足対策を行っている。
 なおかつ、フロントノーズ左右にウィングを装着し、後部にはハイマウントの大型リヤウィングを取り付け、積極的にダウンフォースを発生させている。かつ、ウイング支柱を後輪のアップライトに装着してダウンフォースが直接タイヤに作用するようにし、徹底した荷重不足対策を行っている。
 この対策が効を奏し、1968年シーズンはタイプ49Bで グラハム・ヒルは3勝を挙げ、ドライバーチャンピオンを獲得し、ロータスはメーカーチャンピオンシップを獲得している。

(写真) 実車記録写真 (www.motorstown.comより引用)



 1968年からチームロータスは、ブリティッシュグリーンのナショナルカラーに替り、スポンサーカラーの赤白金色の「ゴールドリーフ」塗装になった。
 ゴールドリーフとは金箔の意味で、インペリアル・タバコ社というイギリスのたばこ会社のブランドである。日本語訳だと「大英帝国タバコ会社」という感じだろうか。本社はブリストルにあり、1901年に11社が統合して設立されたイギリスでは由緒あるたばこ会社で、ゴールドリーフの他、John Player & Sons、ジタン などが有名だ。1972年に経営多角化し、インペリアル・ブランズ(英: Imperial Brands plc、LSE: IMB)と改称している。現在では、フィリップモリス、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、日本たばこ産業に次ぐ世界第4位のシェアを持つ大たばこ会社となっている。
 この1968年を境にして、チームロータスを皮切りに、技術が高度化しマシン開発費も チーム運営費も桁違いの費用を要するようになった各F1チームは それぞれタバコメーカーを大スポンサーとして、そのカラーを身にまとい、走る広告塔となり、商業的に発展していくのだ。
 それが、2007年以降、全世界的にタバコ広告が禁止となり、F1を含むモータースポーツからタバコスポンサーが撤退するまで、40年続くのである。


(写真) 実車写真 (www.motorstown.comより引用)

製作

 2月に発売されたロータス49Bは2013年発売のロータス49(1967)のバリエーションキットなので、ウイング付カウリングとリアウイングの他は、ロータス49とほぼ同じ内容である。
 キットはハイマウントウイングとローマウントウイングで作り分けられるようになっている。
 また、タイヤのパターンのモールドも秀逸で、タイヤのFirestoneの文字とゴールドのラインは最初からタンポ印刷されていて 親切だ。
 ロータス49の製作記事が2013年7月号(LOTUS49 エブロ1/20)に掲載されているので、併せてご覧いただきたい。
 製作はパズル的な要素もあり、初心者には少し難しく、ある程度の経験が必要だ。
 また、組み立て説明書は部品ごとに塗装してから接着する方式を前提にして書かれている。キットとしては これで もちろんいいのだが、ブロック化して塗装をすると接着強度も確保でき、楽なので、説明書とは少し違う順序で製作を行った。


ボディの塗装

 ボディ部品は白のプラスチックでモールドされているため、透け防止で一度サフェーサーで下塗りし、その上で、MrカラーホワイトとGXレッドで塗り分けている。
 ゴールドには ガイアカラーのブライトゴールドを使った。
 デカールを貼り、クリアを吹いて塗装は完了。
 本当は、胴体の四角枠TEAM LOTUS の文字の上に、GOLD LEAF の文字があるのだが、ライセンスの関係か、デカールから削除されているのが惜しい。

GOLD LEAF のフォント

塗装をしたボディ、カウル、ウイング

モノコックコクピット

 フロントサスペンションの強度を優先に考えて、モノコックコクピットには フロントバルクヘッドまで一体に接着してしてしまい、塗装を行った。 また、全体の最終組み立ての際にも、モノコックコクピットの底面を基準にして前後サスペンションのアライメントを取るのが楽のように思える。


フロントサスペンションとラジエーター

 モノコックに左右ボディをかぶせ、フロントアップライトを取り付けて、フロントサスペンションを完成させる。  その前部にラジエターが支柱部品を介して取りつくのだが、位置関係が分かりづらい上に接着代が少なく、組みにくい。ここはフロントカウル下部を両面テープでボディに仮止めしておき、それを基準に組むのが良いだろう。



エンジン

 ロータス49の構造は3リッターエンジンが後部バルクヘッドにむき出しで直結され、リヤサスペンションはエンジンに懸架されるようになった。  エブロのキットでは サスペンションに組みづらい部分があるが、素晴らしい雰囲気で再現されている。
説明書の順序とは違い、エンジンにトランスミッションを接着してから、リヤサスペンションの組み立てを行うようにした。

エンジンにトランスミッションを接着し、リアサスペンションの工作をする。


完成したエンジン部とリヤサスペンション
また、エンジンにはプラグコードを追加してみた。

ノーズとウイング

 ノーズ左右のウイングはノーズカウル下部の孔と、ラジエーターのノーズカバー支え(C-11部品)の孔を通して、中央で結合することになっているが、孔位置が合わず組みにくい。  それで、C-11はノーズカウル下部に孔位置を合わせて接着することにした。ラジエーターのノーズカバーもノーズカウル下部に接着したので、かなり組み立てやすくなった。

ノーズと左右ウイング

最終組み立て

 ボディに透明キャノピーを透明エポキシで接着し、最終組み立てに入る。
ポイントはリヤの大型ウイングで、長い支柱の上に接着するため、ボディに対して捩じれやすいので、上から見てねじれがないように慎重に取り付けよう。
タイヤを取り付けて、無事 4輪共に机面に接地すれば、組み立て完了である。
箱絵にはリヤウイングとヘッドレスト間の補助支柱が描かれていたので、洋白線で追加したが、実車写真でも補助支柱が無いものもあるので、追加の必要はないのかもしれない。

最終組み立て前の各ブロック


ネジレが極力目立たないように、バランス重視で最終組み上げを行う。

完成

 完成したLotus49Bの姿は実に魅力的だ。
ちょっと組み立てに苦労する箇所は実感としてあったが、それはそれで、きっと楽しい思い出となるはず。
エブロのこのキットは製作中のメカニック感がたまらない。充実した製作時間を過ごすことができた。




ロータス49 その後

 1969年はロータス63を投入する計画だったが失敗作だったため、49Bを継続使用した。技術競争の末に出現したリヤの大型ウイングを、各F1チームとも使うようになったのだが、細い支柱の上に大型ウイングが装着される構造は誰の目にも安全性に危惧があり、そのうちに事故が起きるのではと懸念されていた。
 果たして、遂に、第2戦スペインGPでロータス49Bのグラハム・ヒルとヨッヘン・リントの2台ともウィングの支柱が折れてクラッシュする重大事故が発生する。そして、FIAは次戦モナコGPからハイマウントウィングを使用禁止としたのである。
 以後、ロータスはロータイプのリヤウイングに変更する。このロータイプのリヤウイングはエブロの49Bキットには部品とデカールが入っており、作り分けることが可能だ。
 ロータスのドライバー グラハム・ヒルとヨッヘン・リントにもこの1969年は明暗の年となってしまう。
 グラハムヒルは第3戦モナコGPで5勝目を挙げたが,これは最終的に自身最後の優勝となった。彼は不孝にも第10戦アメリカGPで脚を骨折する重傷を負い、結局ロータスチームを去ることになってしまったのである。
 もう1台の ヨッヘン・リントはアメリカGPで優勝を飾り、以後スターダムにのし上がっていくのだ。

 さて、マシンの行方であるが、ロータス49は 翌1970年にファイアストンタイヤのワイドトレッド化に対応して49Cとなる。この49Cは次期ロータス72のサスペンション問題が解決し実戦投入されるまで使用された。
 才能を開花させたヨッヘン・リントはモナコGPでジャック・ブラバムを最終ラップで逆転し、49シリーズ最後の12勝目を獲得している。
 ジムクラーク、グラハムヒル、ヨッヘンリントと幾多の名ドライバーを乗せた名車ロータス49は次世代へとバトンタッチし、静かにF1レースから引退し、現在は博物館にその姿を休めているのである。




ビンテージ・ガレージ バックナンバー
4th
シーズン
2017年2月号 第22回 ベンツW154-M163仕様  (W163 (1939) リバイバル 1/20)
2017年1月号 第21回 ダットサンSR311 フェアレディ (フジミ(旧日東) 1/24)
2016年12月号 第20回 スカラブ Mk.4(モノグラム 1/24) 
SCARAB Mk.4 (MONOGRAM 1/24)
2016年11月号 第19回 マクラーレンM8A 1968(タミヤ 1/18)
  Mclaren M8A (TAMIYA )
3rd
シーズン
2016年2月号 第18回 ポルシェ356Aスピードスター (トミー 1/32)
PORSCHE 356A SPEEDSTER(TOMY 1/32)
2016年1月号 第17回 ブガッティT55スーパースポーツ(バンダイ 1/20)  
Bugatti model 1932 type 55 Super Sport (Bandai 1/20)
2015年12月号 第16回 フェラーリ 250 テスタロッサ(ハセガワ 1/24)
Ferrari 250 Testa Rossa (Hasegawa 1/24)
2015年10月号 第15回 シトロエン DS19 (エブロ 1/24)
CITROEN DS19 (EBBRO 1/24)
 
2015年9月号 第14回 フォルクスワーゲン カルマン・ギア 1963年型 (GCIクレオス 1/24)
 Volkswagen Karmann Ghia 1963
2015年8月号 第13回 メルセデス ベンツ 300SL (タミヤ 1/24)
Mercedes Benz 300SL (Tamiya 1/24)

2nd
シーズン
2014年12月号 第12回 オースチン ヒーレー 100-6 (レベル1/25)
AUSTIN HEALEY 100-SIX (Revell 1/25)
2014年11月号 第11回 リンカーン・フューチュラ(レベル1/25) 
LINCOLN Futura (Revell 1/25)
2014年10月号 第10回 メルセデス・ベンツ540K(モノグラム1/24)
MERCEDES-BENZ540K (Monogram 1/24)
2014年9月号 第9回 デユーセンバーグ・モデルSJ(モノグラム1/24) 
DUESENBERG SJ (Monogram 1/24) 
2014年8月号 第8回 ド・ディオン・ブートン (1904年型)(ユニオン 1/16)
DE DION BOUTON 1904 (UNION 1/16 )
2014年7月号 第7回 アルファロメオ2300 トゥーリング(1932)(ブラーゴメタルキット 1/18)
ALFA ROMEO 2300 TOURING(Burago Metal Kit 1/18)
1st
シーズン
2014年1月号  第6回 ベンツ 300SLR (レベルモノグラム 1/24) 
2013年12月号 第5回 BENTLEY 4.5L BLOWER (エレール 1/24)
2013年11月号 第4回 ブガッティ 35B(モノグラム 1/24) 
2013年10月号 第3回 BRABHAM F-3 (エレール  1/24) 
2013年9月号  第2回 ROB WALKER Team Lotus 72C (エブロ 1/20)
2013年8月号  第1回 ホンダF1 RA272(タミヤ 1/20)


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